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2017年10月4日水曜日

祖母の心配

就職で家を出るときに、亡くなった祖母が心配してかけてくれた言葉「お前は、食い意地がはっているからな、卑しいことをするな。人に迷惑をかけるな」迷惑をかけない、卑しいことをしない。ぼんやりその言葉を受け取った。そして、社会に出た自分を支える言葉となった。経済的にも、人間的にも自立する。親に迷惑をかけない。誠実に人と接する。そんな当たり前の話だが、今もって私を支えてくれる祖母の言葉。














その後、パティシェになってつくづく思う、食への意地なんて生半可ものではない。明らかに、自分の中に食への執念を感じる。「どうせ食べるなら、おいしく」さらに「死ぬまでに食べられる回数は決まっているなら、一回でも多くおいしい食事をする」そんな思いをもって、日々の食事がある。祖母の作る手料理には、そんな思いがあった。


















パティシェの仕事も同じような感覚で「どうせ作るなら、自己最高を作る」そうしたがつがつした思いを、パレットフィロソフィーでの「日々ベストを尽くす」の言葉につながっていく。




先日、毎月送られてくる小冊子に、フリージャーナリストの音田昌子(おんだまさこ)さん「生きる長さは人それぞれだから、「今」という時間だけが唯一公平なのかもしれない」と、書かれていた。どうせ生きるなら、生きて生きるべきだ。この「今」を…

 

言いたいことは同じ、食は命につながる。命がなければ、大いなる人生はない。日々の食を整える、大切にする。私のお菓子作りも、ここから始まっていると思っています。亡くなった祖母に感謝です。

2017年9月28日木曜日

年に一回は食べたくなるお菓子

今年のおかげさんデーで販売するこの時だけのアントルメに「オーナーシェフのおかげんさんデー」を、企画するようにスタッフから強要された。切り口は、普遍的?な私の判断基準「自分が食べて美味しい」サブタイトルはつけていないが、年一回は食べたくなるお菓子です。

予約状況を見ていると、段突人気がないのがオペラ・カフェだ。年に一度は食べたいから、大学の授業メニューに入れている。作業量が格段に多くなるので、学生たちにはちょっと気の毒なくらい忙しいメニューだが、バタークリームを使ったお菓子では、これを外す意味がない。


店で販売しても同じで、売れないお菓子だ。先日、和菓子と洋菓子の製造販売をされている社長から「洋菓子は原材料費が高く、手間暇かかるけど売値に反映できないから大変ですね」と、同情?された。その通りですとしか言いようがない。


思いを持って、手間暇かけてショーケースに並べても、食べログなどで「普通やん」とか、書かれると笑うしかない。このジョコンドの中心までしっかり火を通すと、この上にエスプレッソコーヒーシロップを浸しても生地がじゅくじゅくにならんとサクッと切れてアーモンドの香ばしい味わいとコーヒーの香りと苦味、バタークリームの柔らかい旨味が一緒に溶け出し、それら渾然とつながる味わいをチョコレートが包み込んで溶けていく。食べ終わった後に鼻腔に戻ってくるコーヒーの香り長く残るバターとチョコの味。これがオペラやねん。みたいな話は意味を失う。


味わいは主観や好みで変わってくる。さらにいえば、気分や体調でも変わる。自分が美味しいと思うものが、全ての人も美味しいと思うのは傲慢だ。どんなに美味しいものでも回数を重ねると、飽きてくる。「前は、もっと美味しかったのに」などと、自信満々にいう人がいるが、どうでもいい、あなたの話だ。この年齢で作るオペラがある。それだけの話で、この味わいは再び出会うことはない。今の味を作る。そんな味わいを楽しんでいただけたら嬉しい。

2017年9月17日日曜日

県立大津高校らしいスィーツづくり

大津高校家庭科の生徒80人ほどに特別授業。パテシェ希望の子も何人かいるとのことを聞いていたので、夢をつなげるような話ができたらいいなと思った。


平成27年から、家庭クラブの顧問などを引き受けてスィーツづくりのアドバイスなどをしてきた。今年は、その取り組みを全国大会で発表して、文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞したと報告があった。少しは、お役に立てたのかと嬉しく思う。


そして、3年目になる「仮説大津高校らしいスィーツ開発」の話を、二学期の冒頭に1年生を対象に話をすることになった。昨年は、授業の終わりの総括と反省という位置づけだったが、学期はじめでの特別授業は先生たちの思惑があるのかなと思う。

80人全員のコメントが先生から送られてきた。読むのに約90分かかった。先生ってこれ全部目を通しているんだなと思うと、日の当たらない努力に頭が下がる。コメントの多くは、なんらかの刺激を受けて、気づきレベルにまで受け取る子が多かった。中には、評論家のような子もいるが、概ね学びや気づきはあったようで良かった。

パティシェ希望の子たちの、本気でパティシェを目指そうと思ったというコメントに努力が報われる。他にもパティシェは才能だけでやっていると思ってたというコメントもあった。日々の努力がないとプロとしてやっていけないことを理解してくれたようだ。

90分話し続けるので、ついてこない生徒が出てくる。今年は、その対策として、眠くなるピークに焼きたてのサブレを配って食べてもらった。お笑いタレントであれば笑いを一発だが、私はパティシェそんな器用なことができないので、地味にサブレを配る。狙いは的中した。

話をしながら、この場に立たないとこの感覚、気づきはない。こんな機会を与えていただけるのは、ありがたいと思った。目の前のことに全力で取り組むだけの話だが、終われば感謝です。

2017年9月16日土曜日

冬・春に食べたいと思うケーキコンテスト

小さい規模ですが、コアなパレットマニアの方のご協力をいただき、冬・春に食べたいと思うケーキコンテストを、草津エイスクエア店とパレット皇子山店にあるカフェドシナモニで開催しました。




今回もですが、社内コンテストで勝ち上がってくる製品と、お客様が撰ぶ製品に大きな開きがある。社内コンテストでは、パティシェ側の主観で見ていくので、がちがちのフランス菓子のような組み立て方のお菓子が好まれ評価される。お客様の評価は、ネーミングなども含め”わかりやすさ”や”食べやすさ”が評価のポイントになってくる。



これは、わかっているつもりで分かっていないという事実を突きつけてくる。”流暢性の幻想”で、わかっているつもりになっているだけのことだ。他者を公の場で、無神経に批判しまくる人や正論を振りかざして、公的立場の人を”犬”呼ばわりするような話とつながっていく。ここまでくると、人としてどうなん?と、率直に思う。



話を戻すと、お客様の笑顔のためにと懸命に考えているつもりでも、やはりパティシェの自己満足は否定できない。できないが、それを全否定することは意味がない。こんなお菓子あったら食べたいな。が、そもそもの動機だからだ。行動はすべて”欲求の充足”成功も失敗もすべてスタートは同じだ。



今回、キャラメルマキアートという商品名で提案があった。入社3年目の技術も知識もまだまだな3年目のパティシェ―ルだ。技術習得も人一倍時間がかかっている子だ。そのうえ、自分勝手、マイペースがその子の持ち味になっている感がある。社内コンテストでもこの製品を出すか出さないかでもめたほどだ。しかし、お客様評価は高かった。



製品を作った思いを聞けばとても素直。目指すイメージがはっきりしていたから迷いなく持てるわずかな力を一点に集めた。素直な感性がお客様の心に響いたのかなと思う。試行錯誤は続きますが、こうしたイベントもお客様とスタッフでつなげていきながら、お客さまもスタッフも幸せになる店づくりを、素直な気持ちで進めていきたいなと思います。


2017年9月11日月曜日

空色農園のシャインマスカットをつかったタルトを作る

空色農園の三崎さんが直接、シャインマスカット持って店にきていただけた。一年越しのラブコールがようやく実った。食べてやはり美味しい。三崎さんも、奥さんと一緒でとても柔らかい雰囲気でご縁をいただいて嬉しいと思った。

素材に力があるときのお菓子作りは簡単だ。糖度が21〜22度でしっかりと甘くみずみずしい味わいを生かす、それだけの話だ。お菓子も、作り手の表現力など、その人の人間性が強く現れる。農産物も同じだろうと思う。


空色農園のホームページを見ていたら、空色農園の名前の由来が書かれてあった。「空色農園の空・色は、仏教の世界観「色即是空、空即是色」が元になっています。色は、五感で感じられるものを表し、空は精神や第六感を表します。仏教の世界観では、この色と空が合わさり「縁」が生まれるとされています。人と地域とのつながり、縁を大切にしたという想いから、空色農園は始まりました。」空色農園さんホームページから引用


思いが同じ。お取引できる巡り合わせにありがたいと思います。滋賀で暮らし、滋賀でお菓子を作り、滋賀の人を元気にできればいいな。そんなことをいつもぼんやり思っているが、同じ思いの人が繋がることは大きなエネルギーへと繋がって行く。ものづくりという入口から入ったが出口は同じ社会の役に立つ。社会貢献。シャインマスカットのタルト「いまだけ、ここだけ、これだけ」しかない限定商品だけど、多くの人に笑顔になっていただければ嬉しいです。

2017年9月9日土曜日

「自信を持て」は無責任

野球解説の権藤博さんが新聞のコラムに書いていた。投手の自信はマウンドで結果を出すことでしか得られない。監督やコーチがいくら自信を持って投げろと言っても無駄。自信は自分を信じること。人から与えられるものではない。内から湧き出るもの。何の裏付けもなく「自信を持ってやれ」のアドバイスは無責任。

パレットでは、自信を自分の中に作るために、社員全員が日々の小さな行動目標設定に取り組んでいる。1日の終わりに小さな達成感、満足感を感じる。そんな小さなことを積み上げることで、自己信頼感、自己肯定感の絶対量を増やす。増えたから、急激に変化するのではなく可能性が高まる。そこから、その人が掴むかどうかは、最後の一分一秒までわからない。つまり、試合に勝つことだ。そして、結果はプロセスに支配されている。


取り組んでいることは"気がついたらすぐやる" "使ったものは元の場所に戻す""脱いだ靴は揃える"小さなことだが、習慣になるまで取り組むことで、明らかにその人の内面で核反応が起こる。その社員の当たり前が変わる。そうして社員が、お母さんに「あんた、どうしたん?」と、言われる。無言の笑顔が交わされる。人の成長は、ゆっくりと繋がっていく。


社員教育の補助金は、外部講師を招いてするセミナーにしか出ない。こうしたオリジナルな取り組みに共通の価値を見出せないからだと思う。しかし、外部講師の研修より、はるかに効果があると思っている。それは、"自信をつかむ"という本質に向かっているからだと思う。自信は、教えてもらって持てるものではないのだ。

年輪経営 かんてんパパに行ってきました。

滋賀県洋菓子協会の研修で、長野県の伊那食品工業(株)丸山事業部長のお話を伺った。以前から聞いたことのある年輪経営の話を、丁寧にわかりやすくお話しいただいた。



出来上がった会社を見ていると様々なご苦労があまり見えないけれど、いっぱい苦労して1つ1つ積み上げてきたのが、今日なんだろうなと話を聞きながら思った。"良い会社"ではなく"いい会社"を目指す。売り上げも利益も全て社員を幸せにするための手段にすぎないに共感を覚える。

会社経営の要諦は「ファンづくり」P・F・ドラッカー教授の「顧客の創造」とつながる。ファンづくりのために、良い商品、良いサービス、整理整頓清掃された心地よい店、挨拶や言葉遣い、笑顔の1つまでもが、全てファンづくり繋がっていく。つまり、社員一人ひとりが一日何人のファンを作れるか?に掛かってくる。「いい会社」は、それを積み重ねてきているということだ。

全く同じことを、日々言い続けている。パレットも日々こうした小さな努力を重ねていくことで、伊那食品さんのようになれるのかな?と、ぼんやり思う。しかし、時代の中で経営環境は目まぐるしく変化していく。昨日のニュースでトイザラス の経営危機が報じられていた。塚越会長の言う「遠きを図る経営」が、ズンと心に落ちてくる。少しでも近づけるように、努力しようとマジに考える1日でした。こうした出会いに感謝です。